電光らんちうキック

漫画、特撮、映画に関してぼちぼちつぶやいてます

最近、『週刊少年チャンピオン』が面白い

チャンピオンを定期購読し始めてもう数年経ちますが、最近特にそう思うのですよ。

 

ファンの多い弱虫ペダル刃牙道』。変わらない安定した面白さを維持している毎度!浦安鉄筋家族などの看板作品はもちろんのことなんですが、新しい連載陣も個性豊かな作品が多くて飽きない誌面作りになっています。

そんな新連載陣の中から好翁さんが好きな作品をご紹介。

 

鮫島、最後の十五日間』佐藤タカヒロ

 小兵ながらも真正面からぶつかる取り口を身上とする力士・鮫島鯉太郎。

かつては客席から野次が飛ぶような悪役だったが、入幕した今ではトンパチな正確と真っ直ぐな取り口から人気力士となっていた。しかし、体格に似合わないバチバチした取り口は確実に身体を蝕んでいるのだった。

「新しい連載陣」とか言いながら2009年から続く漫画(『バチバチ』『バチバチ BURST』に続く第三部)を紹介するのもどうかとは思ったが、過去二部作を知らなくても問題無く読めるのであえてエントリー。

 

タイトルの通り、入幕したもののすでに限界を迎えつつある身体を抱えて迎える最後の十五日。
太れない身体を「俺は相撲に選ばれちゃいない」と嘆きながらも

「(いつ最後の土俵になるかわからないのに)その最後の相手が全力じゃなかったら…」

「許せねーだろ そんなの!」

と相手を焚きつけて全力をぶつけていく取り組みは、迫力のある作画も相まって圧巻の一言。

そんな『鮫島、最後の十五日間』ですが、タイトルに反して鮫島の物語というよりは、鮫島の本気にあてられて自分の相撲で応える取り組み相手の力士のドラマになっているのも面白いところです。

  

『AIの遺電子』(山田胡瓜)

AIの遺電子(1)(少年チャンピオン・コミックス)

AIの遺電子(1)(少年チャンピオン・コミックス)

 

 国民の1割が人口知能(ヒューマノイド)となった近未来。人口知能を治す医者である須藤は「モッガディード」という裏の医者の顔を持っていた。

 

身体の中身が機械でも人格だけはコピーも交換も違法であるため、頭部の破損があれば人口知能とて普通に死ぬ世界。そのような世界で

「傍目に人間と変わらない人口知能と人間の差異はどこにあるのか?」

「一度人格を消去してバックアップしてあった記憶を戻した場合、それは同じ人格なのか?」

という倫理学の講義で出てきそうな話を丁寧に描いた作品。

 

派手なアクションも無ければ、世界を揺るがす大事件が起きるわけでもない。そのような静かな作品だからこそ、記憶や人格をめぐる物語がクッキリと浮き彫りになってきます。
少年漫画には珍しいタイプの近年稀な良作になるのではと期待大なのです。

 

細かいけど大事なこととして、この作品の感想ツイートなどを見ると『AIの遺子』とタイトルを間違えてる人がかなり多いです。自分も間違えました。

『AIの遺子』が正解です。お間違えなく。

 

『吸血鬼すぐ死ぬ』(盆之木至) 

吸血鬼すぐ死ぬ(1): 少年チャンピオン・コミックス

吸血鬼すぐ死ぬ(1): 少年チャンピオン・コミックス

 

 吸血鬼退治人のロナルドが出会ったのは、些細なことでもすぐ死ぬ吸血鬼のドラルク。二人はなんやかんやでコンビを組んだような組んでないようなそんな感じになったのだ。

 

作者本人が「出オチ感満点のタイトル」と言うように、内心「出オチすぎて長くはもたないんじゃないかな」と思ってたら、いつの間にやら毎週楽しみな作品の一つになってました。みくびってました、ごめんなさい。

 

子供にスネを蹴られて灰になる(即復活)、漫画喫茶のゲームの音が大きくて灰になる(即復活)、と一発芸感覚で死ぬドラルクと、強気でそれなりに実力もあるが世間体を気にするロナルドが不思議と噛み合いテンポの良いドタバタ喜劇になっています。

 

また脇を固める面々が、股間ゼラニウムを生やした吸血鬼や、猥談で変身能力が暴走する変な生き物など「どうすんだよ、このキャラ……」みたいなのまで上手く馴染んで話が回ってるので、作品が安定飛行に入った感があります。

個人的に一押ししていきたい作品です。