父と子と横綱の御名において
時は2XXX年。アメリカ合衆国。
謎の奇病で立ち上がることもできなくなり姿を消した“技の横綱”五大湖が全身を機械化して土俵に姿を現した。
五大湖は次期横綱と目されている大関・満破綻(マンハッタン)を立ち合いの変形からの八艘フライ(飛行形態での急上昇→落下)で倒し、技を越えた技術(テクノロジー)の相撲を見せつけるのだった。
大相撲はこのままテクノロジーに敗れるのか?
否!
伝説の横綱であれば!あるいは!
横綱とは神である。
元は人の身でありながら、心・技・体を兼ね備え神になったのが横綱である。
では、その神はどこにいるのか?
神となった横綱は教会にいるのだ。
合衆国相撲教会。その地下で石像となって眠り、大相撲が危機に見舞われた時に三種の神器によって目覚めるのだ。
三種の神器。
すなわち
神の子を突いたロンギヌスの槍(太刀)
神の子より流れる血潮を受けた聖杯(賜杯)
神の子の骸を包んだ聖骸布(まわし)
によって。
目覚めた伝説の横綱は、科学によって生まれた技術の横綱に勝てるのか?
あわせた両手から放たれる大閃光「CAT・FAKE(ねこだまし)」!
全身から放たれるミサイル一斉発射「四十八手フルバースト」!
技術の粋の兵器に対し、その身一つで前に出る伝説の横綱!
やがて歴史的な激闘となるこの一番を描いたSF相撲漫画。
その名を『五大湖フルバースト』!
五大湖フルバースト ―大相撲“心・技・体”伝説2―(1) (MiChao!コミックス)
- 作者: 西野マルタ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2018/12/21
- メディア: Kindle版
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奇才、西野マルタが繊細、かつ大胆な筆致で描くこの作品を紹介したくてうずうずしていたが、大好きな作品だけに紹介するタイミングを逸し続けていた(そういう作品が山ほどある)。
だがこの度、〝河童×相撲〟をテーマとして短編集『えんこうさん』が発売されるとの情報を得て「紹介するなら今しかないだろう!」と紹介記事を書いた次第である。
このうち『小銀杏譚』は試し読みで全編公開されている。これを読めば「繊細かつ大胆な筆致」という特異な作風がご理解いただけるだろう。
『小銀杏譚』試し読み前後編
書籍版の『五大湖フルバースト』には、薬物投与と遺伝子操作で究極の身体を手に入れた“力の横綱”リヴァイア山と伝説の横綱(五大湖と立ち会った伝説の横綱とは別の横綱)の一番『両国リヴァイアサン』が収録されている。
そして、巻末にはSF相撲漫画3部作最終章“心の横綱”の予告が告知されているがこの作品は未だ公開されていない。
SF相撲漫画3部作はこのまま完結しないのか?『小銀杏譚』は書籍化しないのか?と恐れていたので、『小銀杏譚』の書籍化が成った喜びは筆舌に尽くしがたい!
これを機に西野マルタ作品が世に広まって欲しい!
そしてSF相撲漫画3部作の完結を皆で迎えたいのである!