電光らんちうキック

漫画、特撮、映画に関してぼちぼちつぶやいてます

男には自分の世界がある

男の世界。


空を駆ける一筋の流れ星にも喩えられる、美しくも儚い世界。
女性がその世界を垣間見ることは希だろう。また、男性であってもこの深遠な世界の全てを知ることは難しい。

 

キャバクラって何するところなの?
個室ビデオ店って中はどうなってるの?
オナホって何?どんな風に使うの? 

そんな男の世界を知ることができる漫画が『をのころん』(全1巻)である。 

 

小野緒乃子(15)男性、並びに男性器に興味津々などこにでもいる女子高生。

彼女は、突然現れた「世の女性が男に抱く好奇心が生んだエネルギー体」である女神ジョディ・オンヌに導かれて、時に透明化し、時におっさんに化けて男の世界の秘密を探っていくのだ。

 

自分も男として生まれてきてぼちぼち40年近くになりますが、男の世界もなかなか広く深いのでね。全てを知るのはなかなか難しいんですねよ。

キャバクラはなんか性にあわないし、個室ビデオ店は近くに無いし……
そういった世界の様子を知るのにこういうレポート漫画は実にありがたいのです。


とりあえず「銭湯に入る時、股間周辺で行われる男性独特の動作」「カプセルホテルから出て来る男性は外はピカピカで目は死んでる」というのが経験済みで納得できたので、他に紹介されてる事例もわりとリアルなのでは、と思う次第。

 

ちなみにこの漫画。『漫画サンデー』において「女性読者を開拓するように」ということで企画された漫画だそうです。


女性の方の感想をお待ちしております。

AV女優・豪島セーラという武道家

グラップラー刃牙』の空手家・愚地独歩、曰く。
手に何も持たぬことを旨とする道が空手である、と。
戈を止めると書いて武である、と。

断言しよう。ならば、豪島セーラの生き様は紛う事なき「武」である、と!

彼女は武器を持たないどころではない。一糸まとわぬ姿こそが彼女の正装である。
彼女、豪島セーラはAV女優である。
『はぐれアイドル地獄変 外伝 プリンセス・セーラ』(既刊1巻)は「性」で戦い、「性」を追求する女の物語なのだ!

 

……さて、タイトルに「外伝」とある通り、この作品は同作者の『はぐれアイドル地獄変のスピンオフ作品です。 

はぐれアイドル地獄変 1

はぐれアイドル地獄変 1

 

 本編『はぐれアイドル地獄変の主人公・南風原海空(はえはるみそら)が「高身長、筋肉質、褐色、金髪、処女」であるのに対し、「小柄、スレンダー、色白、黒髪、AV女優」と真逆の存在が豪島セーラ。

 

本編の主人子の海空が「空手」を武器にアイドル業界の困難を乗り切るのと同様、セーラも「性」を武器に戦い続けてきました。

母親の再婚相手からの性的虐待に対抗するため「性」を使って力を得たのを皮切りに、暴走族、レズビアンの先輩など、幾多の困難を「性」で乗り切ってきたことが(真偽のほどは定かでないが)本編で語られています。

 

小島聡子(セーラの本名)にとって障害を乗り越えるための武器だった「性」。

しかし、性の犠牲者である小島聡子からAV女優・豪島セーラに転身した時、彼女の武器であった「性」は追求すべき「道」となったのです。

樹海に足を踏み入れた自殺志願者、性行も困難な世界一の巨根、体重160kgの元・女性アイドル……性別、国籍、体型の区別無く性に立ち向かい、技を磨き、理解しあう。
そう。この漫画はAV女優が主人公だけれども、間違いなく武道漫画なのです。

 

拳を肉体に叩き込み破壊するのではなく、巨根を受けとめ、巨体を愛し、全てを受け入れる。『はぐれアイドル地獄変 外伝 プリンセス・セーラ』は世界で一番優しい「武」の漫画なのです。


本編を読まなくても問題なく読めるタイプのスピンオフですので(むしろ逆に、本編に突然スピンオフ側のキャラが出てる)、一風変わった格闘漫画を求める方にオススメです。

 

 

 

 

 

全くの余談ですが、冒頭で紹介した「武」って漢字の成り立ち。

「矛を止める」んじゃなくて「矛を持って戦いに行く姿(「止」は矛を持ってる人の足)」が正しいらしいですね。

豪島セーラも常に新たな戦いの場を求めているので、本来の成り立ちの方が彼女らしくもあります。

おかえり あぶない刑事

映画『さらば あぶない刑事』観てきました。
本当にすごかった。 

さらば あぶない刑事(通常版) [Blu-ray]

さらば あぶない刑事(通常版) [Blu-ray]

 

 何がすごかったって『あぶない刑事』以外の何者でもない映像だったのがすごかった。

テレビでやってたあの雰囲気そのままの映像!

2016年が舞台で2016年の風景なのに90年代のあの頃の雰囲気!

港署のあるハマの空気!!

 

自分は小中学生時分にリアルタイムであぶ刑事を観てた世代というか、タカとユージがかっこいい男の代名詞だったりしたので、今回の復活は正直不安でたまらなかったんですよ

 

妙に小奇麗な映像で今風の感動作を目指してすべったりしないだろうかとか、なんか黒のレザーっぽいコスチュームを来てクールを気取った中途半端な悪役が出るんじゃないかとか。

 

まったくもって杞憂でした。

 

なんでこんなに完璧にあの雰囲気が出せてるんだろうと思ったら、スタッフがほぼ当時のままなんですね。監督の村川透さんとか撮影の仙元誠三さんとか喜寿ですよ?松田優作の『蘇える金狼』とか手がけた人たちなんですよ?

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(『松田優作物語』1巻より)

そんな超がつくほどのベテランがまだまだ健在で当時と変わらぬ仕事を見せてくれるというこの嬉しさ。

 

キャストもみんな歳は重ねたものの、それは渋みが増しただけで「老いた」って感じが全く無いのもすごい。
タカ(舘ひろし)のバイクアクションも、『RUNNING SHOT』をBGMにしたユージ(柴田恭兵)の全力疾走も、港署の面々のノリも、全てがあの頃のまま。そしてレギュラーメンバーが何らかの形でほぼ全員登場してるのも嬉しい。

 

ちなみに個人的にすごく好きだったのが山西道広さんが演じた吉井刑事(パパさん)。退職しておでん屋さんになってるけど、『探偵物語』で松本刑事やってた頃みたいなヒゲをたくわえた好々爺になってました。良い。実に良い。

 

そして、今回の敵である南米の犯罪組織BOBのメンバーを演じた吉川晃司と夕輝壽太も実に良かった。
暴力と死が日常にある地域で生きてきた雰囲気が出ていて、自然に「こいつヤバい」と思わせる夕輝演じるディーノ・カトウの立ち居振る舞い。血の気は多いが粋がったチンピラのような小物感が無く、感情や動作の静と動がハッキリしてる獣のような男。

そのディーノを従えるのが吉川さん演じるキョウイチ・ガルシア。一見すると杖をついた物静かな紳士だがディーノを抑え込めるだけの説得力ある風格があって実に画になる。加えて、足の粉砕骨折が治ったばかりと思えないアクションは圧巻。
2人ともあぶ刑事の最後を飾るにふさわしい魅力的な敵でした。

 

特撮クラスタとしては仮面ライダースカル(吉川晃司に加えて、ユージの知り合いの元・不良グループの2人が仮面ライダーメテオ吉沢亮キカイダー(入江甚儀)なのも嬉しい。さすがにメテオやってた頃とは雰囲気違うんで「この顔、どこかで見た覚えがある……」と悶々としてましたが、パンフ読んで納得。


そう言えばパンフに、吉川さんがバイクの練習をしてる様子をたまたま見に来た仮面ライダーのスタッフに「また仮面ライダーやることになったんだよ」って冗談言ったというエピソードがあったんですが、本当にスカルでもう一本やってほしい!それくらいにアクションもバイクスタントもかっこよかった。

 

というわけで長々と感想書きましたが、あぶ刑事好きとして満足のいく作品だったということを世に訴えたか ったのです。ちょっと気になってるって人も、あぶ刑事初めての人も是非劇場へ。

そしてブルーレイで再び!

最近、『週刊少年チャンピオン』が面白い

チャンピオンを定期購読し始めてもう数年経ちますが、最近特にそう思うのですよ。

 

ファンの多い弱虫ペダル刃牙道』。変わらない安定した面白さを維持している毎度!浦安鉄筋家族などの看板作品はもちろんのことなんですが、新しい連載陣も個性豊かな作品が多くて飽きない誌面作りになっています。

そんな新連載陣の中から好翁さんが好きな作品をご紹介。

 

『鮫島、最後の十五日間』佐藤タカヒロ

 小兵ながらも真正面からぶつかる取り口を身上とする力士・鮫島鯉太郎。

かつては客席から野次が飛ぶような悪役だったが、入幕した今ではトンパチな正確と真っ直ぐな取り口から人気力士となっていた。しかし、体格に似合わないバチバチした取り口は確実に身体を蝕んでいるのだった。

「新しい連載陣」とか言いながら2009年から続く漫画(『バチバチ』『バチバチ BURST』に続く第三部)を紹介するのもどうかとは思ったが、過去二部作を知らなくても問題無く読めるのであえてエントリー。

 

タイトルの通り、入幕したもののすでに限界を迎えつつある身体を抱えて迎える最後の十五日。
太れない身体を「俺は相撲に選ばれちゃいない」と嘆きながらも

「(いつ最後の土俵になるかわからないのに)その最後の相手が全力じゃなかったら…」

「許せねーだろ そんなの!」

と相手を焚きつけて全力をぶつけていく取り組みは、迫力のある作画も相まって圧巻の一言。

そんな『鮫島、最後の十五日間』ですが、タイトルに反して鮫島の物語というよりは、鮫島の本気にあてられて自分の相撲で応える取り組み相手の力士のドラマになっているのも面白いところです。

  

『AIの遺電子』(山田胡瓜)

AIの遺電子(1)(少年チャンピオン・コミックス)

AIの遺電子(1)(少年チャンピオン・コミックス)

 

 国民の1割が人口知能(ヒューマノイド)となった近未来。人口知能を治す医者である須藤は「モッガディード」という裏の医者の顔を持っていた。

 

身体の中身が機械でも人格だけはコピーも交換も違法であるため、頭部の破損があれば人口知能とて普通に死ぬ世界。そのような世界で

「傍目に人間と変わらない人口知能と人間の差異はどこにあるのか?」

「一度人格を消去してバックアップしてあった記憶を戻した場合、それは同じ人格なのか?」

という倫理学の講義で出てきそうな話を丁寧に描いた作品。

 

派手なアクションも無ければ、世界を揺るがす大事件が起きるわけでもない。そのような静かな作品だからこそ、記憶や人格をめぐる物語がクッキリと浮き彫りになってきます。
少年漫画には珍しいタイプの近年稀な良作になるのではと期待大なのです。

 

細かいけど大事なこととして、この作品の感想ツイートなどを見ると『AIの遺子』とタイトルを間違えてる人がかなり多いです。自分も間違えました。

『AIの遺子』が正解です。お間違えなく。

 

『吸血鬼すぐ死ぬ』(盆之木至) 

吸血鬼すぐ死ぬ(1): 少年チャンピオン・コミックス

吸血鬼すぐ死ぬ(1): 少年チャンピオン・コミックス

 

 吸血鬼退治人のロナルドが出会ったのは、些細なことでもすぐ死ぬ吸血鬼のドラルク。二人はなんやかんやでコンビを組んだような組んでないようなそんな感じになったのだ。

 

作者本人が「出オチ感満点のタイトル」と言うように、内心「出オチすぎて長くはもたないんじゃないかな」と思ってたら、いつの間にやら毎週楽しみな作品の一つになってました。みくびってました、ごめんなさい。

 

子供にスネを蹴られて灰になる(即復活)、漫画喫茶のゲームの音が大きくて灰になる(即復活)、と一発芸感覚で死ぬドラルクと、強気でそれなりに実力もあるが世間体を気にするロナルドが不思議と噛み合いテンポの良いドタバタ喜劇になっています。

 

また脇を固める面々が、股間にゼラニウムを生やした吸血鬼や、猥談で変身能力が暴走する変な生き物など「どうすんだよ、このキャラ……」みたいなのまで上手く馴染んで話が回ってるので、作品が安定飛行に入った感があります。

個人的に一押ししていきたい作品です。

悲しみを乗り越えて ひとり ひとり 斗う

仮面ライダー 1971-1973』は「誕生1971」「希望1972」という2編の仮面ライダーの小説に、書き下ろし「流星1973」を加えて1冊にまとめた本です。

仮面ライダー 1971-1973

仮面ライダー 1971-1973

 

 ショッカーに改造された城南大学の学生・本郷猛仮面ライダーを名乗りショッカーと戦うという大筋は一緒ですが、TV版と決定的な違いがあります。

それは本郷猛の戦いが孤独で絶望的なものであるという点です。

 

仮面ライダー2号・一文字隼人や多くの仲間と共に戦ったTV版とは異なり、仮面ライダーは本郷猛ただ一人であり、共に戦うアンチショッカー同盟すら目的が「ショッカーになりかわること」であるため、共闘はするが信頼はできないという関係。

独りでは戦えないが、絶対的に信頼できる者はいない。孤独な戦い。


恋人に裏切られ、頼れる仲間も無く、同じショッカーの被害者である怪人たちを手にかけ、何度も戦う意思を砕かれる本郷。国家どころか有史以来人類を陰から支配してきたというショッカーに、なぜそれでも一人立ち向かうのか。


目の前の涙を止められるのなら、人ならぬこの腕で止めてみせる。

平和な日々を失ったことすらも誇りに変え、覚悟を決めて心が折れかけても何度でも立ち上がる本郷猛の姿は、対象が子供であったTVシリーズでは描ききれなかった「ロンリー仮面ライダーのもう一つの姿と言えます。

 

……さて、この小説。仮面ライダーに関する知識が無くても問題なく読めますが、1号からV3まで、欲を言えばZXまで+原作漫画くらいの仮面ライダー知識ゲルショッカーの最初の怪人がガニコウモルであるとか、ショッカーの地獄大使とバダンの暗闇大使は従兄弟同士とかそれくらいの知識)があるとより楽しめる設定が散りばめられています。わかる人は登場人物の名前や、怪人の設定を見てニヤリとする楽しみがあるでしょう。

その逆に、なまじライダー知識があるだけに予想を覆される描写もあったりするのでそれはそれでまた楽しいところです。

 

加えて「走行中の変身でバイク(サイクロン)まで変身するのは何故か」「ショッカーが兵器の製造ではなく人体改造や人間と他生物の融合に重きを置くのは何故か」など、番組上の演出に対して意味を持たせているのもライダーファンが楽しめるポイントになると思います。

 

ここまでライダーの話が主になりましたが、この小説の魅力はショッカー側にもあります。人間を改造して怪人を造りだしながらも、その目的は人類の未来のためであると主張するショッカー。

 

その中でもショッカーの幹部<大使>(TV版の地獄大使に相当)は表舞台でショッカーと政府や企業との交渉などを行うこともあり、魅力的な人間臭さを醸し出しています。

 

敵である本郷に頼みごとをするためにスーツの膝を汚して土下座する<大使>

どうしても映画のタイトルを思い出せないけど、気を使って答えを誰かに聞こうとする部下に「教えてもらっちゃ意味がない」と意地になる<大使>

なのに本郷猛にあらすじまで説明してなんて映画か知らないか聞いちゃう<大使>


無骨で生真面目な本郷猛と、自由で飄々とした<大使>

戦うために人間らしさを失っていく本郷猛と、政府や企業と関わりあって人間味を見せる<大使>

人間の暗部に希望を見出せない本郷猛と、人間の暗部も含めて利用し人類の未来を考える<大使>

 

表の主役である本郷猛が人間のために戦いながらも心を暗く蝕まれ周りで、<大使>が人間の未来のために善も悪も利用し明るく立ち回る様はこの作品の影の主役と言っても過言ではなく見事なコントラストを描いて作品に深みを与えています。

 

この小説は仮面ライダーの物語」として読んだ後に、「<大使>の物語」として読むこともできる、光と影の物語なのです

『しんにち!』片手にプロレスに触れてみないかね

『しんにち!』(既刊1巻)。新日本プロレス(以下、新日)のプロレスラーをモデルにした学園物の4コマ漫画です。

 

 

この本を初めて書店で見かけた時、そのライトな絵柄から「最近プロレス女子が増えてるっていうから、そういう層の需要をあてこんで描かれた漫画かな?」くらいに思って手に取らなかったんですが……

ごめんなさい。読んだら面白かったです。やはり、実際に読んでみないとわからないもんです。ごめんなさい。

 

『しんにち!』は、新日のレスラーを極力シンプルにキャラクター化した学園物なのでプロレスを知らない人でも軽く読める作品です。加えて、プロレスファンが描いた漫画にありがちなクドさが無いのも読みやすさの助けになっています。

 

ちなみにあとがきによれば作者のまつもと剛志さんは「プロレスに関するネタはおぼろげには知ってたけどちゃんと見始めたのはこの仕事の話が来てから」との事。それが幸いしたんだなぁ。

 

さて、そんな『しんにち!』。是非ともプロレスを知らない人にこそ読んでもらいたい。特に「プロレス観てみたいけど色んな人がいてよくわからない」という人にこそオススメしたいのです。


新日本プロレスは2015年現在、唯一地上波で放送されているプロレス団体なのでテレビ朝日系列が視聴できる地域であれば手軽に観ることができます。

そして新日のレスラーはコスチュームやキャラクターがハッキリしています。その選手の外見とキャラを『しんにち!』では上手くディフォルメしてるので事前知識として読むのに、またガイドブックとして使用するにも最適なのです

 

ちなみにこの作品。現在新日の中核を成している棚橋選手や中邑選手はそのまま出ていますが、獣神サンダーライガー選手だけは何故か山田さんという女の子になってます。誰なんでしょう、山田……

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(画像右が山田さん)


かつてライガー選手は英国遠征していた山田恵一という選手について「山田は死んだ。リヴァプールの風になった」と発言したことがありますが、何か関係あるんでしょうか。

 

謎ですね。